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ソフトウェア開発者として働く人の技術的なメモ

Developers Summit 2013(2日目)に参加しました

[caption id="attachment_2395" align="aligncenter" width="260"](デブサミ2013の公式HPへ)デブサミ2013の公式HPへ)[/caption] Developers Summit 2013、通称デブサミ 2013 に参加してきました。業務都合上2日目だけでしたが、参加したセッションの内容を一部お届けします。

追記 本エントリを CodeZine 様にご紹介頂きました。デブサミ2013の様々な資料がまとまっていますので、CodeZine 様の「デブサミ2013、講演関連資料まとめ」も合わせてご覧ください。

デブサミの様子

会場の様子

[caption id="attachment_2387" align="alignright" width="300"]devsumi_グッズ デブサミ2013の2日目で頂いたグッズです。発表会場外のブースや、発表の感想を書くとグッズがもらえます。Riak のステッカーが嬉しい![/caption] デブサミ2013の会場は目黒雅叙園。学生のころから就職活動でお世話になっている豪華絢爛な建物です。会場はいくつかのセッション会場とオープンスペース、そして物販、コミュニティや企業の宣伝ブースがありました。ブースを回っているだけでも結構楽しく、オープンスペースでは自然にハッカソンが始まるなど、デブサミならではの面白さもありました。

写真撮影はダメだと言われてしまったのですが、人も多くかなり賑わっていました。収容人数が多いセッション会場では、入場のために毎回長蛇の列を作っていました。廊下はそんなに広くないので、知り合いとすれ違うことも多かったです。

今回が初めての参加だったのですが、堅苦しい雰囲気もなく、かといって若い人ばかりでもなく、多種多様なバックグラウンドをもつデベロッパー達が集うイベントだと感じました。

セッションの内容

デブサミ2013のテーマが「Action!」ということで、こんなことやってみませんか?と多くの発表者が伝えてくれました。

Ruby開発者のみなさん、mrubyで楽しく快適な組み込みアプリ開発を始めませんか? by 曽我部崇さん
[slideshare id=16541343&doc=devsumi2013sogabe-130215003053-phpapp02]

東京Ruby会議10(参加レポートはこちら)でもお話されていました、mruby についての詳細なお話です。

128kbyte のメモリがあれば動作し、少し改良を加えれば 64kbyte 環境でも動作するという、組み込み向けの軽量版 Ruby である mruby。IIJ 社では自社製品ルータ「SEIL」に組み込み、様々なイベントをトリガにして処理を記述することが出来ます。例えば定期的に電飾消費量を Twitter に送信したり、監視異常を検知した場合のデータを Amazon S3 に送信するなど、イベントも処理もユーザの思いのまま。

文字列処理を中心に開発効率が上がったのはもちろんのこと、mruby で書けないところは C言語で書くなど、IIJ 流のベストプラクティスやノウハウも知見として溜まっているようです。

組み込み以外でも apache に mod_mruby として利用したり、MobiRuby として iOS で利用するなど、mruby の用途は広がっていきそうな印象を受けました。

Webと自然科学の意外な接点、先端アドテクとの必然的な出会い by 吉井伸一郎さん

サイジニア株式会社の吉井さんは、自身の研究員としての志向から、アドテクを仕事にする経緯を話しました。

複雑ネットワーク理論の観点からインターネットを眺めると、誰も管理していないインターネットはランダム性をもつと思われていたものが、実はスケールフリー性をもつ自己組織のようなものであったと判明。吉井さんの研究テーマや興味である「自己組織化」「複雑ネットワーク」「インターネット」の3つが合わさる、アドテクで現在は仕事をされています。

従来は理論から市場まではいくつものステップがあり遠かったそうですが、理論が先にあって、それがすぐに市場に適用できる現在のインターネットやIT市場の様子を見て、Google は研究の仕方自体を変えたと吉井さんは語ります。

ちょっと余談ですが、僕が学生だったころ、研究室で先輩方がまさに複雑ネットワークの研究をしていたため、機会があればその理論をいかにアドテクに生かしているか詳しく聞きたいです。

ビッグデータが騒がれているが、騒がれているのは Hadoop などの手法ばかり。ビッグデータが扱うデータ自身にも着目して欲しいと伝えてくれました。

大規模スマートフォンサービス開発の世界 ~無料通話アプリcommの現場から~ by 長田一登さん
[slideshare id=16548273&doc=devsumi-130215070519-phpapp01]

DeNA のアプリ、comm の開発舞台裏を長田さんが話しました。

comm は長田さん自身が事業計画書を作って開発を始めたそうで、DeNA ではエンジニアが事業計画を作るのはよくあることだそう。その点にも驚きましたが、更に長田さんは新卒入社2年目ということで、新卒1年目の僕としてはただただ感心するばかりでした。。「社内のスーパーエンジニアが駆けつけてくれて…」という話もありましたが、新卒2年目で事業計画を作り、疎結合でスケールアウトしやすいインフラを設計し、社内に詳しい人がいないスマートフォンアプリの開発を始める長田さんも、僕からしたらスーパーエンジニアです。

DeNA は全社的にアジャイル開発を進めており、comm でもスクラムを組んで開発していたそう。また、全社的に MySQL が大好きで、ストレージは基本的に MySQL を利用しているそうです。DeNA は技術一つとってみても魅力的な会社ですね。

comm がリリースに至り、その後に急激な人員増強と、それぞれのフェーズでの大変さを語った長田さん。「大規模たれ!」と締めくくった発表からは、僕をはじめとして会場にいる参加者は興奮したのではないでしょうか。

OpenDataとハッカソンで変わる世界 by 関治之さん/渡邉英徳さん/及川卓也さん/東富彦さん/中井康裕さん

[slideshare id=16547949&doc=opendata-130215064720-phpapp02]

こちらはロングセッションで、80分かけて発表が行われました。といっても発表という形ではなく、討論会という形で、様々なバックグラウンドをもつ5名の方が登壇されました。

セッションの内容としては、「OpenData は今後ますます重要になり」「ハッカソンは OpenData と相性が良いが」「OpenData を使ったハッカソンで世の中を変えることができるか?」という3本柱。前2つは理解できますが、3つ目は難しく重たい話です。東日本大震災で復興支援をすべく行われたハッカソンが、はたして復興支援に役立ったのか?と自問する及川さんの姿が印象的でした。

「ハッカソンはエンジニアが楽しんで行う、いわばお祭りのようなもので、それが復興支援と相いれない」と語る及川さん。「お祭り」という言葉からも分かるように、たとえハッカソンで面白いアイデアが出てもそれが持続してサービス化されることは少なく、その点でも復興支援とは相性がよくありません。

そんな中でハッカソンから生まれて今でも使われているサービスがいくつかあるそうです。成功した要因と、仮に次に同じような災害が起きた時に、ハッカソンは役に立つのか、役に立つのだとしたらどのような方法を取ればよいか。この問題に対し、一時的なイベントである ハッカソンのアイデアを受け止め、絶対に実行するという強い意志をもった「地元民」の巻き込みが必要だとの話が上がりました。オーガナイザーではなく問題を抱えた人々が自らテーマを考え、ハッカソンから出たアイデアを問題解決に役立てよう、実行しようという強い意志が、ハッカソンが役立つために必要とのこと。

経済産業省の中井さんもいらしたことから、やや日本政府のオープンデータ化に話が始終しましたが、とても貴重な話が聞けました。ハッカソン自体にも興味が湧いたし、単に面白いだけじゃない、問題解決に役立てるためのハッカソンがあれば是非出てみたいです。

全然話が変わりますが、このセッションはスライドの作り方、モデレータの関さんの話し方、最後に「隣の人と Action! を交わし合って下さい」と参加者を巻き込む取り組みなど、セッション自体の進行が素晴らしかったです。普段ハッカソンをはじめとするイベントを企画されている方だけあるな、と感心しました。

Action!

デブサミに参加して「いいと思ったら、まずアクション!」を実行して欲しいということで、デブサミ2013のテーマは「Action!」。今回のデブサミではセッションごとにどんな「Action!」ができるかを提示してくれました。

最後にご紹介した「OpenDataとハッカソンで変わる世界」というセッションでは、セッションの最後に隣の人と「どんな Action! を実行しようと思うかを意見交換してください」とアナウンスがされました。入社直後の研修みたいなことをするもんだな、と思いましたが、これがまた楽しい。2分だけですが、お互いの自己紹介やデブサミに参加した目的、そして Action! を交換し合うことで、僕以外の参加者と触れあい、少し新鮮な気持ちになれました。

僕の「Action!」は、まずはハッカソンに参加してみようというものです。何となく興味はあるけれどきっかけが無かったので、これを機会に。ハッカソンの雰囲気や楽しさ・難しさが分かれば、今日聞いた「OpenDataとハッカソンで変わる世界」の内容も一段と理解出来る気がします。

余話:アドテクとビッグデータの発表の難しさ

2日目はアドテク中心に回りましたが、アドテクやビッグデータの発表は面白くするのが難しそうだなと感じました。

というのも、アドテクやビッグデータって曖昧なフワフワした用語なので、発表に対する期待値を高くしてしまう。どんな凄い発表が聞けるんだろう、と思ってしまうんです(少なくとも僕は。。)。今回のアドテク関係のセッションも、実際は分散処理の話だったり、純粋なデータマイニング技術の話だったりして、「期待」自体が曖昧な分、聴衆の期待とズレてしまうことも多いのではないでしょうか。

アドテクやビッグデータがビジネスよりな用語なのも原因かもしれません。アドテクの仕事や研究をしていなければアドテクに興味をもつことはほとんど無いでしょうし、そういうビジネス的な興味をもってセッションに行くと、デブサミでは要素技術だけの話が中心で、しかもそれ自体はアドテクに限った話でないことも多いので、なんとなく面白味に欠けました。

アドテクは広告技術なので衰退することはないのですが、ビッグデータがこういう感じで「良く分からないもの」と思われてしまうのは残念です。扱うデータが増えるに従い、今まで分からなかったことが分かるようになるのがビッグデータの面白さだと思うので、「データ」の面白さを伝えてくれた吉井さんのセッション「Webと自然科学の意外な接点、先端アドテクとの必然的な出会い」を上ではご紹介させて頂きました。

一般のエンジニアが手に入るビッグデータとしての OpenData にも期待ですね。ハッカソンもはかどりそうです。